HOME >> 肥満と疾患
罹患率とは病気にかかる割合を示します。肥満はよく病気になりやすいといわれますが、
実際そのくらいの割合でなるのでしょうか?
肥満を原因とする病気としてよく言われるのが、糖尿病、高血圧、心疾患、痛風、胆石などです。
これらを中心に肥満による罹患率を調べるとかなり高確率であることがわかりました。
標準体重の1.8倍もの体重がある肥満の人は、標準体重の1.1倍ほどの過体重と呼ばれる人に
比べ、明らかに病気になりやすいとされました。
数字にしてみると、糖尿病が約4.5倍、高血圧が約3倍、痛風が約3倍、胆石が約3倍となるの
です。これは過体重の人との比較ですから、標準体重の人と比較すればさらに高確率であることは
間違いないでしょう。
肥満は病気になる可能性を格段にあげてしまいます。後悔する前に肥満対策しましょう。
肥満によってもたらされる病気として最も有名ともいえるのが糖尿病です。
糖尿病になると、決まってやせなさいといわれるものです。
実際、肥満の人の人の糖尿病罹患率は肥満でない人の3〜4倍にもなるといわれています。
また糖尿病になるだけでなく、糖尿病で死亡する確率も高くなっています。
肥満の人が糖尿病で死亡する確率は標準体重の人に比べて男女共に4倍近くにものぼっています。
やはり肥満は最終的に命をも脅かす存在となるのです。
同じ肥満でも肥満度によって確立はかわってきます。過体重の人での糖尿病の罹患率は
1.3%程度、肥満度T、U、Vとあがるにつれて2%、3.5%、5%とどんどんあがって
いきます。
もちろん糖尿病のすべての原因が肥満ではありませんが、肥満は糖尿病と密接に関わっています。
糖尿病になると、厳しい食事制限などが必要になってきます。その前に肥満を解消しましょう。
肥満に程度に応じて血圧もあがっていきます。肥満であればあるほど高血圧であるということ
です。さらに加齢によっても血圧の上昇は生じ、それに肥満が合わさるとかなり危険になります。
では、肥満であるとどうして高血圧になるのでしょうか?
肥満ということは体が大きくなるため、心臓はより力強く血液を送り出さなければなりません。
よって1回の拍動で送り出される血液の量が増えることのほか循環する血液そのものも増えるのです。
さらに肥満の人は濃い味が好みであったり、食べる量も多いため、摂取する塩分も多くなります。
ホルモンの異常も考えられます。
こういったことが原因で高血圧となるのです。
肥満の人の高血圧の確率は顕著であり、過体重といわれる人でも15%、肥満度Tで20%、
その後肥満度に応じて30%、50%もの人が高血圧になるのです。
これは肥満の人のほとんどが高血圧であるということを示します。
高血圧はその後脳血管疾患などのリスクを高めます。肥満でない人も塩分の摂りすぎには注意が
必要です。
痛風はそれこそ風が吹いただけで痛いといわれるほどつらい症状を伴う病気です。
痛風の原因としてはおもに飲酒が挙げられます。
しかし痛風患者の50〜75%に肥満があるというのです。
過体重ではそれほど痛風のリスクがあがるとはいえないようですが、肥満度Tで1.3%、
肥満度Wで2%程度の罹患率のリスクがあるようです。
痛風の原因を肥満と断定してしまうのは言いすぎなようですが、まったく関係がないとも
いえません。
特にお酒好きな肥満者は注意が必要なようです。
胆石患者の実に80%近くが肥満であるというのだから驚きです。
肥満と胆石のかかわりは非常に高く、標準体重の人の胆石を患う率と比較するとその差は歴然です。
なんと過体重の人でも9%にものぼるというのです。それは肥満度が上がるにつれて12%、
15%となり肥満度Wでは25%近い胆石の罹患率になります。
肥満の人にはそのほか肝疾患もみられ、脂肪肝とはよく聞くものです。
肥満に胆石はつきもの?ここでその事実を知ってしまったなら、絶対に肥満を解消すべきです。
肥満によってなによりも負担の強いられる臓器は心臓です。
肥満であると体が大きいがために血液を送るのにも一苦労です。
また、少しの運動でも大量のエネルギーや酸素が必要なため、心臓は大忙しです。
これでは心臓に無理がいって様々な心臓の病気を誘発するのも無理はありません。
血液を全身に送る働きをしているのは心臓の左心室と呼ばれるところですが、
肥満の人の心臓の左心室は肥大化しているといわれています。それだけ無理がかかっているのですね。
肥満による心疾患の発症率は過体重の人で3%、肥満度Wの人で5%弱と言われています。
過体重の人から肥満度Wまでの人の間の差は糖尿病などに比べると低いですが、
心疾患は一度で命を落としかねない恐ろしいものです。
肥満で一番頑張っているのは心臓なのです。
肥満すると、体が大きくなった分だけより多くの酸素が必要になってきます。
酸素を含んだ血液を送り出す働きを担っている心臓に負担がかかるのは言うまでもありませんが、
負担がかかるのは心臓だけではありません。
酸素を取り込んでいる肺にも同じように、余分な負担がかかるのです。
血液の中の酸素や二酸化炭素などをはじめとするガスの含有率は決まっています。
肥満の人はこれらの量が増えるため、肺胞でのガス交換もより多くこなす必要があります。
しかし胸やお腹についた厚い脂肪は呼吸運動をしづらくし、仕事量を増やします。
よって心臓への負担も大きくなり、肺への血液量も増えてしまうのです。
より重い肥満では肺への負担増により、肺胞低換気症候群などを招きます。
肺疾患の罹患率も過体重から肥満全般と通して7%前後と高確率をほこっています。
肥満は内臓ひとつひとつへの負担を大きくしているという認識が必要なのです。
肥満は内臓への負担を増やします。そのため、心疾患とはじめとした様々な病気にかかりやすく
なります。腎疾患も肥満によって患う可能性が高くなる病気です。
腎臓は排泄に関わるとても大切な臓器ですが、肥満によって脂肪がついてしまいます。
それにより水分がたまってしまったり一部では過剰に排泄が起こるなどの状態に陥ります。
過体重の人が腎疾患になるリスクは12%、肥満度Wでは13%にもなると言われています。
さらに恐ろしいことに肥満の慢性腎炎による死亡率は、男女共に2倍ちかくにまでなります。
これは急性腎炎が肥満によって治りにくく慢性化するためだと考えられますが、
肥満によって死が導かれることを数字で表したことにもなります。
肥満は食道から尿道という内臓の隅から隅にまで負担をかけます。
内臓は一生もの、大切にしなければなりません。
肥満は消化性潰瘍(かいよう)のリスクも増加させます。消化性潰瘍ということは、
消化に関わる器官の潰瘍ということです。
肥満の人は運動不足であることが多いですが、それ以上に食べすぎが原因である人が多いです。
人よりたくさん食べているということは人より消化器官をたくさん働かせているということに
なります。
さらに間食も多く、だらだら食べているとそれこそ内臓器官は休む間もなく、ずっと働きっぱなし
です。これでは病気になるのも無理はありません。
肥満による消化性潰瘍のリスクは高く、肥満の6〜7%もの人がなるといわれています。
精神的なストレスで胃潰瘍になるのは有名な話ですが、食べすぎは消化器官も潰瘍をおこして
しまうのです。内蔵もいたわってあげなければなりませんね。
肥満による体重の増加は内臓だけでなく、骨や関節など体を支える部分にもかなりの負担を
強いることになります。
同じ体重の増加でも運動などを通した筋肉の発達による体重の増加は、逆に体を支える働きに
なります。そして体を支えることにより、関節などへの負担も軽減することになります。
肥満は関節におもりをつけているのと同じことです。よって体重の増加に比例して関節炎の
リスクも高くなります。
特に坐骨神経痛やO脚などにみられる変形性股関節症、膝関節症などはその代表ともいえます。
過体重による関節症のリスクは13%、肥満度Tで15%、肥満度Uで17%、肥満度Wで20%
にも膨れ上がります。
関節症は動くたびに痛みを生じたり、ひどくなるとどんな体勢でも痛みを生じるなど、
とても辛い症状を呈します。また肥満によって一度変形した関節を元通りにするのは
そう簡単なことではありません。
ひざの痛みを感じたら、肥満のサインなのかもしれません。
やせすぎは貧血のもととはよく聞くことです。
特に女性は貧血になりやすく、貧血による悩みを抱える人も少なくありません。
しかし、肥満も貧血の一因をなるのです。肥満の人は肥満でない人に比べてより多くの酸素が
必要です。ということは、その酸素を運ぶ血液もたくさん必要です。
するとその中身の鉄分も余計に摂取せねばならないということになります。
ただし、肥満と貧血の関係はそのほかの病気のリスクとはすこし違った結果をもたらします。
たいていの病気のリスクは肥満度が上がるほど高くなっていきます。
しかし貧血に限っては肥満度が高くなるとすこしリスクが減る傾向にあります。
例えば過体重の人の貧血のリスクは26%くらいですが、肥満度Wの人は22%程度になります。
それほど大差はみられないものの、若干の減少が伺えます。
それにしても肥満の人の4人に1人が貧血とは・・・体が大きな分、鉄分もちゃんと摂取
しなければなりませんね。
肥満の人は逆流性食道炎いなる危険性も高まります。
逆流性食道炎とは、胃の中の食べ物が逆流し、胃のもたれを感じたり、むねやけとして現れます。
肥満であると、お腹の脂肪によって胃が押し上げられ、胃酸の逆流をもたらします。
さらに胃が押し出されて食道裂孔ヘルニアになることもあるのです。
逆流性食道炎の症状は食道ガンや胃ガンなどの症状とも似ているので甘くみるのは危険です。
特に早食いの人は胃酸の逆流を招きやすくなります。
早食いは肥満の一因でもあります。肥満で食道炎になったらそれこそ大好きなものが食べられなく
なってしまいますよ。
睡眠時無呼吸症候群とは、眠っているときに呼吸の停止状態が20〜30秒あり、それが7時間の
睡眠中に30回以上現れることを言います。
睡眠時無呼吸症候群により、時間的には睡眠をとっていても脳がしっかりと休めない状況が続き、
昼間眠くなり、時には居眠り運転など重大な事故につながったりするのです。
また、睡眠時無呼吸症候群を呈する人のほとんどがいびきをかくといわれています。
そしてそのいびきの原因は肥満であるいことが多いです。
睡眠時無呼吸症候群の人の実に70〜80%が肥満であるともいわれています。
睡眠時無呼吸症候群はときに突然死や心疾患、事故をも招く恐ろしいものです。
肥満の解消によりそれを防げる可能性があるので、肥満は避けたいものです。